睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)について
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、夜間、睡眠中に呼吸が止まり、それによって日常生活に様々な障害を引き起こす疾患です。いびきをよくかくことも特徴の一つです。
睡眠中に呼吸が止まると、脳や身体は低酸素状態となります。夜間の睡眠が障害されると、日中に眠気やだるさ、集中力低下などの症状が出現します。頭痛、倦怠感、疲労感などの症状が出ることもあります。また、居眠り運転による交通事故の原因にもなります。放置しておくと高血圧、糖尿病、循環器病などの慢性疾患につながると言われています。
睡眠時無呼吸症候群の原因
原因としては3種類あります。
1. 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA, Obstructive Sleep Apnea)
物理的に気道が塞がることで呼吸が止まるタイプであり、最も多いです。その中でも肥満の方が多いです。喉の周辺に脂肪がついていると、気道を狭めます。痩せていてもあごの小さな方は、気道がふさがりやすいです。加齢とともに喉や首回りの筋力がゆるんだり、舌の付け根が下がってきて発症される方もおられます。
2. 中枢性睡眠時無呼吸(CSA, Central Sleep Apnea)
脳の呼吸中枢が適切に機能せず、呼吸の指令が出なくなる事により引き起こるタイプです。脳の異常、心不全などが原因で、脳から呼吸をするという命令が届かずに起こります。
3. 混合型睡眠時無呼吸(Mixed Sleep Apnea)
上記の閉塞性と中枢性の両者を併せ持つタイプです。
睡眠時無呼吸症候群の指標
睡眠時無呼吸症候群指標は次のようになります。「無呼吸」とは「10秒以上呼吸が止まる状態」の事であり、この無呼吸が一時間に起きる回数を「無呼吸指数(AI)」と言います。また、完全には呼吸が止まっていないものの、極めてそれに似た状態が10秒以上続く状態を「低呼吸」といい、一時間以内に生じる回数を「低呼吸指数(HI)」といいます。これら、無呼吸および低呼吸が一時間に何回生じるかというのを「無呼吸低呼吸指数(AHI)と言い、SASの診断基準となります。正常は、5回未満です。5回以上~15回未満:軽症、15回以上~30回未満:中等症、30回以上:重症と評価します。
睡眠時無呼吸症候群の検査
検査としては、簡易的に、指や鼻の下にセンサーをつけて睡眠中の呼吸状態を測定する方法と、入院し、全身にセンサーをつけるポリソムノグラフィー(PSG検査)があります。
当院では、テイジン社に依頼し、ご自宅で夜間の呼吸状態をみる簡易検査を実施します。検査キットはご自宅に郵送されます。ご自宅で一晩、機械をつけていただき、送り返していただきます。
2週間ほどで結果が当院に届きますので、外来にて検査結果をご説明いたします。
AHI(無呼吸低呼吸指数)の程度により、治療方針が決まります。さらに精査が必要な場合は、PSG:睡眠時ポリソムノグラフィー検査に進んで頂きます。
この検査は、一泊入院する必要があります。
藤沢徳州会病院、湘南鎌倉総合病院などにご紹介いたします。
睡眠時無呼吸症候群の治療
1.(過体重のかたは)減量
2. マウスピース
軽症の方には、夜間、マウスピースを装着して頂きます。マウスピースにより下顎を上顎よりも前方に出すように固定させます。それにより上気道を広く保ち、無呼吸の発生を防ぐことが出来ます。歯科あてに紹介状を作成いたしますので、歯科の先生と相談していただきたく存じます。
3. CPAP療法
ある一定以上の重症度の方にはCPAP療法をお勧めします。
CPAPとは、「Continuous Positive Airway Pressure」の略で、日本語では「経鼻的持続陽圧呼吸療法」といいます。寝ている間に専用のマスクをつけ、CPAP装置から、ホース、マスクを通して空気を気道に送りこみ、気道がふさがれないようにする治療法です。ご自宅に機械を置いていただいて、睡眠をとるときに装着していただきます。
日本の保険診療のシステムは、CPAP機械は、業者から患者様にレンタルし、診察代を保険医療機関にお支払いいただき、医療機関から業者に費用を払うというようになっています。
睡眠時無呼吸症候群でお困りの方は、これにより劇的に生活の質があがります。(当院では、テイジン社製、またはPHILIPS社製の製品に対し、対応しております。)